柳川現代美術計画Ⅳをご覧の皆様へ

トルコタイルと日本の焼き物。どちらも、「粘土や鉱物の粉末を焼いてつくる」工芸です。

トルコタイルは、荘厳な石造りのモスクや宮殿の壁を彩る装飾として発展してきました。
鮮やかな青やターコイズ、繰り返される幾何学模様や花模様には、空間全体を美しく包み込む力があります。一方、日本の焼き物は、器として日々の暮らしの中で使われてきました。土の風合いや釉薬のにじみ、少しのゆらぎや余白に美しさを見いだす、日本独自の感覚が大切にされています。

日本の焼き物が手に取り、使うことで完成する「手元の美」であるのに対し、トルコタイルは壁や建築と一体になりながら、人を包み込む「空間の美」を生み出してきたと言えます。

今回の展示では、日本人の手によって描かれたトルコタイルを、日本家屋の空間に展示しています。
畳や木、障子のやわらかな空間の中に置かれたトルコタイルがつくる鮮明なコントラストは、お互いの美しさをより際立たせることでしょう。

作品は、単にトルコの伝統を再現するものではありません。日本人が異文化に惹かれ、自分自身の感覚を通して描き、それが日本の空間に置かれ、文化と文化のあいだに新たな対話が芽生える。異なる文化が出会うことで、まだ見ぬ景色が生まれる。その面白さこそが、この展示の魅力です。

遠い国の伝統が、日本の暮らしの空間の中でどのように響き合うのか。そんな視点からも、ゆっくりと楽しんでいただければ幸いです。

窪田有美子

「ムラト3世廟のタイル」
イスタンブルのムラト3世廟 正面入り口
タイルパネルの一部分
「エユップ・スルタン廟のタイル」
イスタンブルのエユップ・スルタン廟内
タイルパネルの一部分
「エユップ・スルタン廟のタイル」
イスタンブルのエユップ・スルタン廟内
壁面タイルの一部分

「時計草とリス」
時計草とリスを描いた創作タイル
「幾千の昼と夜」
アナトリアのキャラバンサライをテーマに描いた
創作タイル
「竜の樹」
生命の源である水の循環をテーマ描いた創作タイル

「四花様式」
バラ・チューリップ・カーネーション・ヒヤシンス
を描いたミニタイルの色違いバリエーション